「パテントトロールからの要求への対処」
技術第2部長 木曽孝
近年、いわゆるパテントトロールが、その所有特許が無線通信等の規格に必須の特許(Standard Essentiality Patent)であることを理由に、当該規格に則った製品を製造販売している企業に対してライセンス料等を要求してくることが増えているようです。訴訟となった場合に、例え裁判で勝っても、訴訟費用がパテントトロールの要求額以上になってしまうこともあるため、パテントトロールの要求に応じてライセンス料を支払う企業もあるようです。しかし、その内容を十分に検討することなく、安易に要求に応じてしまうのは考えものです。
パテントトロールは、規格必須の根拠として、対象クレームの各構成要件を規格該当箇所と対比させたクレームチャートを送付してきます。弊所は、お客様のご要望に応じて、これまで数多くのクレームチャートの解析を行って参りました。クレームチャートの中には、クレームと規格との対応付けが大雑把であったり質が低かったりして、規格合致性が疑われるものもありました。例えば、端末から基地局への上り回線の送信に関するクレームの構成要件に対して、基地局から端末への下り回線の送信の規格箇所を対応付けているクレームチャートがありました。
ですので、パテントトロールからクレームチャートが送付されてきた場合、先ずは、クレームの各構成要件と規格との対応関係が十分に説明されているか否かを確認することが肝要と考えます。対応関係の説明責任は相手側にありますので、その説明が十分でない場合には、交渉のテーブルにつく前に、相手側に説明を求めるべきです。過去には、お客様に、弊所の提案に基づいて、相手側に対応関係の説明を求める書面を送付して頂いた結果、その後相手側から何も連絡が来なくなった事例もありました。
パテントトロールから警告を受けた場合には、弊所にご相談ください。その対応のお手伝いを致します。